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?T−2. 国際船舶制度をめぐる動向

 

1. 国際船舶制度の施行に至る経緯概要

 

(1)海運造船合理化審議会(海造審)における検討
我が国外航海運対策について、海造審が昭和60年6月に「今後の外航海運対策について」答申した後、昭和63年6月には「北米定期航路の運営体制について」(北米定期航路問題ワーキング・グループ報告)、次いで同年12月に「フラッギング・アウトの防止策について」(フラッギング・アウト問題ワーキング・グループ報告)等によって政策の方向性が示され、これに基づいて施策が展開されてきた。また、運輸政策審議会においても、平成3年5月に「国際化時代における外航海運のあり方について」答申が行われた。
しかし、近年、急激な円高の進行等により、我が望外航海運をめぐる環境は大きく変化してきており、このような中で、急激な円高の進行に加え、内外の船員費格差の一層の拡大によるフラッギング・アウト(海外への移籍等による日本籍船の減少)が著しく進行してきた。
このため島国であり、貿易立国である我が国の外航海運の競争力を確保し、日本人船員の海技の伝承を図ることが、我が国の貿易物資の安定輸送の確保を図る上で重要な課題であることから、日本籍船及び日本人船員の急速な減少に歯止めをかけるための具体策として、平成7年5月、外航海運・船員問題懇談会で国際船舶制度の創設が提案された。
国際船舶に関する制度については、平成8年度税制改革で船舶に関する税制上の特例措置(登録免許税及び固定資産税)が認められ、国際船舶の海外譲渡などに関する施策を実現するために海上運送法の一部改正法案が通常国会に提出されたが、なお、日本籍船・日本人船員の確保に向けて様々な課題が残されている。
こうした国際船舶に関する制度の本格的な実施に向けた拡充に関する今後の課題をはじめとして、アジア地域の経済的発展やコンテナ輸送における国際競争の新しい展開など、最近における国際経済環境の変化を踏まえた外航海運のあり方(国際競争力の強化のための方策)について幅広く検討することが必要であることから、平成8年3月28日に海造審の海運対策部会及び小委員会が開催された。
検討テーマは「新たな国際経済環境に対応した外航海運政策について/国際船舶に関する制度をはじめとする国際競争力の強化に向けて」としており、おおよそ一年程度で結論を得ることを目標として、できれば平成9年度概算要求に向けて要望を取りまとめることも視野に入れている。
日本船舶及び日本人船員の減少の傾向については、次頁の図に示すとおりである。

 

 

 

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